中国と日本では、腐敗の撲滅に向けてたゆまぬ努力が続けられています。
中国における贈収賄および腐敗の取り締まり
近年の中国の経済構造の転換や貿易環境の変化に伴い、ビジネス環境における贈収賄や腐敗は新たな傾向を見せています。
これに対して、法制度の継続的な改善や執行強化、そして企業のコンプライアンス意識の向上を図ることなどにより、商業賄賂対策は顕著な進展を遂げています。
発展しつつある贈収賄・腐敗防止対策の中で最も顕著なのは、法規制の枠組みが持続的に、前向きに進化していることです。
立法上の改善

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最新の刑法改正(第12次改正)では、民間企業における贈収賄・腐敗に関連する条項の改正に焦点が当てられています。
3つの犯罪、すなわち、同類営業の不法経営罪(165条)、親族・友人のために違法に利益を図る罪(166条)、私利目的による国有資産低価格株式換算・売却罪(169条)の適用範囲が「国有企業」から拡大されました。
「その他の企業」も対象となったことによって、今では、これらの犯罪は民間企業にも適用されるようになりました。
罰則の厳格化
さらに、刑法390条、391条、393条の改正により、贈収賄に対する罰則が厳格化されました。
2024年9月には、不正競争防止法改正案が国務院常務会議で原則的に承認され、全国人民代表大会常務委員会に審議のため提出されました。
この改正案では、商業賄賂に対する罰金の上限を10万元(約1万3600米ドル)~300万元に引き上げ、商業賄賂に対する法律の抑止効果を大幅に強化しています。
2024年10月には、国家市場監督管理総局が医薬品企業における商業賄賂リスク防止のためのコンプライアンス・ガイドライン(意見募集稿)を発行しました。
このガイドラインは、企業に対するコンプライアンス指針を提供し、学術訪問、接待、割引、手数料、外部委託、臨床研究など、製薬産業でよく見られる9つのシナリオにおけるコンプライアンス対策、リスクの特定・防止について詳述しています。
執行強化
贈収賄・腐敗防止におけるもう一つの重要な傾向は、監督と執行の強化です。
中央反腐敗協調グループの作業計画(2023-2027)では、腐敗防止の重点分野をさらに明確に示して、「高リスクの産業・システム・地域における腐敗に断固として対処する」ことの必要性を強調しています。
2024年の作業計画では、第20期中央規律検査委員会第3回全体会議が個別の事件の調査と制度上の是正措置とを組み合わせることを強調し、金融、国有企業、エネルギー、たばこ、製薬、インフラ・プロジェクト、入札などの業界での腐敗防止の取り組みを深化させました。
また、国家市場監督管理総局やその他の部門は、営業秘密の侵害や不正競争などの行為に対する監督をさらに強化しました。
その結果、2024年には全国のあらゆるレベルの市場規制当局において、営業秘密侵害案件120件を含む1万1036件にのぼる不正競争事件が処理されました。
全国人民代表大会で発表された最高人民法院の2024年作業報告書によると、裁判所は、8124人が関与した非国家公務員による6779件の贈収賄・横領事件を終結させており、これは前年比26.6%増でした。この報告では、民間企業が腐敗と戦い、社内の脅威に対処することを支援することの重要性も強調されています。
また、最高人民検察院が発表した2024年8月企業保護に関する特別行動報告によると、2024年1月~7月には、検察当局は市場経済を混乱させた罪で6万2000人を起訴しており、これは前年比36.5%増でした。
このうち、民間企業の主要な幹部による横領、資金の不正流用、贈収賄など、企業関連の犯罪で起訴されたのは5827人で、前年比41.1%増でした。
新興産業
新たな規制の焦点となっているのが、新興産業です。
新エネルギー:太陽光発電、エネルギー貯蔵、新エネルギー車などの産業が急速に発展していることに伴い、多数の贈収賄・腐敗事件が発生しており、これらの産業での規制能力不足や経験不足が浮き彫りになっています。例えば、新エネルギー車産業のサプライチェーンにおける贈収賄や腐敗は、生産コストを大幅に増加させ、競争力の低下を招き、深刻な場合には破産に至ることもあります。
インターネット:インターネット産業における贈収賄・腐敗事件は依然として多発しており、運用サービス、トラフィックの収益化、データ権利など、業界特有の特性に関連している場合が少なくありません。大手インターネット企業の不正防止・誠実性に関する年次報告書では頻繁に、幹部が贈収賄や腐敗で法執行機関に引き渡された事例が明らかにされています。
製薬:製薬産業では、規制および執行の取り組みが強化されており、多数の幹部や医療機関のリーダーが贈収賄や腐敗で法執行機関に引き渡されています。国家監察委員会の公的機関周辺の腐敗・不正行為への対応に関する報告書によると、2024年には全国で5万2000件の事件が立件され、4万人が処分を受け、2634人が書類送検されました。
巧妙な隠蔽
取り締まりが進む中で、商業賄賂の加害者はそれに応じて、犯罪をより巧妙に隠蔽するようになっています。
利益の偽装移転:企業や個人は、例えば「研究資金」や「学会費用」などの一見合法的な方法を利用して利益を移転し、賄賂を通常の商取引であるかのように偽装することがあります。
第三者の仲介業者:贈賄者は、仲介業者を利用して間接的に利益を移転し、捜査を複雑化させることがあります。
ビジネスチャンス:立場を利用して、不適切な利益と引き換えにビジネスチャンスを生み出す行為などが見られます。
株式・先物市場:株式市場や先物市場において、インサイダー情報や未公開データによる贈収賄が確認されており、市場操作や情報漏洩を伴う事例が見られます。
課題と解決策
デジタル化や、暗号通貨による新たな金融取引などの新技術の時代を迎えて、全く新しい課題が提示されています。
ブロックチェーンや暗号通貨が贈収賄に利用され、規制上の対策が複雑化している一方で、当局は新技術のデジタルツールを通じて、この一連の課題に取り組んでいます。
ビッグデータとAI:これらの技術によって、取引のリアルタイム監視とリスクの特定が可能になります。
ブロックチェーン:その透明性と不変性によって、サプライチェーンの完全性が確保され、贈収賄防止の貴重なツールとなります。
データセキュリティとプライバシー:同時に、データセキュリティ法や個人情報保護法などの新法は、データの保護と不正利用の防止を目指しています。
国際協力
グローバルなルールづくり:中国は国連腐敗防止条約など、国際的な腐敗防止のルールづくりに積極的に参加しています。
国境を越えた監督と執行:中国は国境を越えた贈収賄や腐敗に対処するために、数多くの国々と引き渡し条約や司法共助条約を締結しています。
まとめ
中国の贈収賄防止と腐敗防止の取り組みは、企業の健全な発展と競争力を確保するために極めて重要なものです。
企業は進化するトレンドに適応し、内部統治を向上させ、コンプライアンス体制を強化する必要があります。それは例えば、厳格な贈収賄防止ポリシーの実施、第三者に対するデューデリジェンスの実行、技術を活用したコンプライアンスの改善などが挙げられます。

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日本における贈収賄および腐敗防止法
企業における贈収賄の防止は、コンプライアンスの観点から不可欠です。日本の企業が日本の公務員に不正な利益供与を行った場合、刑法に基づく贈収賄罪に問われる可能性があるだけでなく、重大なレピュテーションリスクにも直面することになります。また、外国公務員に不正な利益供与を行った場合は、不正競争防止法に違反する可能性もあります。
汚職防止への要請が国内外で高まる中、本稿では、企業が公務員に不正な利益供与を行った場合に問われる可能性のある日本の法律上の犯罪について、そしてこれらの法規制に違反しないための重要なポイントについて解説します。
刑法

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日本の刑法では、公務員が職務に関連して賄賂を受け取った場合は収賄罪(第197条)となり、賄賂を供与した者は贈賄罪(第198条)に問われる可能性があります。刑法では他の形態の賄賂も規定されていますが、これが単純収賄罪の基本的な形態です。
例えば、企業の従業員が、関連する事業分野の許認可を担当する公務員に対して、自社の許認可に関して有利な扱いを受けるために多額の金銭を供与した場合、その行為も贈賄行為とみなされます。このような行為が許容されれば、公務員の公正な職務執行や国民からの信頼が損なわれることから、これらの行為は犯罪として処罰されます。
公務員
「公務員」という言葉には、国家公務員や地方公務員だけでなく、法律上公務員とみなされる「みなし公務員」も含まれます。例えば、国立大学法人の職員などが該当します。賄賂を収受した者は日本の公務員でなければなりませんが、贈賄者は日本国籍である必要はありません。
職務
公務員の職務とは全く無関係な形で何らかの利益供与が行われた場合、例えば、休日に私的なクラブの活動中に知人から贈り物を受け取るなど、純粋に私的な関係に基づく場合には、職務上の義務がないため、贈収賄罪は適用されません。
賄賂
賄賂とは、公務員の職務に対する不正な報酬として供与される利益を指します。これには、経済的利益だけでなく、職務に関連する地位などの非経済的利益も含まれます。
賄賂は違法であり、それを受け取ることは社会的に許容されるべきではありません。交通費などの実費は不正な報酬ではないため、賄賂とはみなされません。
同様に、工場を訪問する公務員に1杯の水やコーヒーを提供することを賄賂とみなすのは不合理であり、社会的に受け入れられる行為であるため、賄賂とはみなされません。この文脈では、贈り物が慣習的または社交儀礼の範囲内であれば、賄賂とはみなされないと理解されています。
例えば、公務の目的で企業を訪問する公務員に対し、一般配布用に作成された安価なノベルティ・グッズや小さなサンプル品を提供することは、慣習的または社交儀礼の範囲内とみなされるため、賄賂ではありません。
一方で、公務員の訪問中に、高価な食事や贈り物を支払ったり贈ったりすることは、賄賂とみなされる可能性があります。実際には、何らかの行為が賄賂に該当するかどうかの判断は、時には非常に難しいことがあります。そのような場合には、弁護士の助言を求めることが望ましいでしょう。
外国公務員
刑法上の収賄罪は日本の公務員を対象としており、外国公務員には適用されません。しかし、外国公務員に不正な利益供与を行うことは、日本法の下で犯罪とみなされます。
不正競争防止法は、国際的な取引において不正なビジネス上の利益を得るために、外国公務員に金銭やその他の利益供与を行うことを禁止し、そのような行為に対する罰則を規定しています(不正競争防止法第18条、第21条)。
外国公務員への贈賄に関する場合、社内の責任者だけでなく、法人としての企業自体も刑事責任を問われる可能性があります(不正競争防止法第22条)。
日本の刑法における贈収賄、すなわち、贈賄を行った個人のみが刑事罰の対象となり、所属する企業は対象外であるのとは異なり、外国公務員への贈賄は企業も刑事罰の対象となる点に注意が必要です。
例えば、企業の従業員が日本以外の国の公務員に不正な利益供与を行った場合、その従業員は10年以下の懲役または最大3000万円(約19万米ドル)の罰金、またはその両方を科される可能性があります。
2024年の不正競争防止法改正によって導入された厳しい罰則に従って、企業には10億円(約640万米ドル)以下という、さらに重い罰金が科される可能性があります。
日本企業の従業員が日本国外で外国公務員に贈賄を行った場合、その外国公務員への贈賄行為は不正競争防止法の下で犯罪とみなされます。
2024年の不正競争防止法改正前は、日本国外で行われた外国公務員への贈賄は、贈賄者が日本企業の日本国籍者である場合にのみ処罰の対象となっていました。しかし改正以降、日本企業の非日本国籍者も処罰の対象となりました(不正競争防止第21条)。
日本企業の従業員が日本国外で贈賄行為を行った場合でも、その従業員(国籍に関係なく)だけでなく、その企業は法人として刑事責任を問われる可能性があります。
違反の防止

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前述の通り、企業活動に関連して贈賄が行われ、それが捜査当局によって発覚した場合、刑事罰のリスクがあるだけでなく、重大なレピュテーションリスクも伴います。
日本では伝統的に公務員による犯罪に対する批判が強く、公務員に不正な利益供与を行った企業もまた厳しい批判にさらされます。さらに、デジタル機器などの関連証拠が押収される可能性があり、また責任者が逮捕された場合は、相当な期間にわたって拘留されることもあります。
このような状況は、事業活動の継続を脅かすほど重大な業務の中断というリスクをもたらします。そのため、贈収賄や汚職を防止し、法令違反を回避することは、企業のリスク管理において極めて重要なことです。
残念ながら、「○○円以上を供与すれば贈賄に該当し、それ以下は該当しない」というような統一された基準は存在しません。日本または外国の公務員に利益供与を行うことが違法であるかどうかは、利益供与者と公務員との関係、利益供与の性質と範囲、供与のタイミング、一般的な社会通念などを考慮した上で、ケースバイケースで判断されることになります。
さらに、贈収賄罪の文脈では、「みなし公務員」も公務員とみなされることを明確に認識しておくべきです。この観点から、一部の日本企業は、公務員だけでなく民間の取引先に対しても一切の利益供与を禁止する、腐敗防止に関するガイドラインを策定しています。
原則として、民間企業の代表者に利益供与を行うこと自体は、贈賄や法令違反の問題を引き起こすものではありません。それでもなお、公務員以外を含め、あらゆる利益供与の行為を禁止することで、法令違反を完全に回避しようとしていると考えられます。
贈賄のような法令違反を回避することは確実に重要ですが、これを円滑な事業活動を積極的に遂行することと両立させるのは非常に困難です。
そのため、企業は刑法や不正競争防止法を完全に理解し、違法行為を回避するための視点や手段を開発し、弁護士などの専門家の助けを借りてコンプライアンス体制を構築し、適切な事業活動を継続することが推奨されます。
重要なポイント
コンプライアンスへの要請が世界的に高まりをみせる中、贈収賄などの法令違反を回避することは、企業が事業活動を継続するために極めて重要です。贈収賄などの法令違反に伴うリスクの重大性と、コンプライアンスの体制を確立することの重要性を理解することが不可欠になります。
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