1970年インド特許法(以下、同法)の第3条(b)は、「道徳」に反する方法で使用または利用される可能性がある発明、または「人間、動物、植物の生命に深刻な損害を及ぼす」発明の特許取得を禁止しています。道徳および生命への深刻な損害の評価は、特許庁の審査官の裁量に委ねられています。このように、すでに広範な条文において曖昧な解釈が可能にな「道徳」という概念が言及され、主観的に適用されていることは、社会的に有用な発明や医療技術に対する特許保護の拒否につながる可能性があります。

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マドラス高等裁判所でのRegeneron Pharmaceuticals対Controller of Patents and Designsの事件では、特許が関連する2つの理由で拒否されました。審査官は、同法第3条(b)のもとでは補正された出願が特許性を有さないため、第59条に基づいた出願補正はできないと判断しました。
元の出願では、Regeneron Pharmaceuticalsはマウス、細胞、マウスの使用に関する特許を請求していました。しかし審査の結果、審査官は、同法第3条(b)のもとでは動物は特許の取得が不可能であると異議を提起しました。Regeneronは出願を補正して、遺伝子改変マウスを作成する方法として請求しました。しかし、審査官は補正された出願を拒否しました。第一の理由は、請求された方法が道徳に反すると判断したためです。第二の理由は、補正によって、発明の全体的な範囲が変更されたと判断したためです。出願者は審査官の決定を高等裁判所に上訴しました。
特許には不適格であるという点に関して、審査官は、請求された方法が道徳に関する深刻な問題を提起すると判断しました。動物の遺伝的アイデンティティを改変することは、人間に対して実質的な医療面またはその他の利益をもたらすことはなく、動物に苦痛を与えることだとされました。しかし裁判所は、出願者が審査報告書への回答で、請求された発明は人類の利益のためであると明確に述べていたことを認めました。この点について、審査官は判決の中で簡単に言及しています。出願者は発明の主題が、医療研究を通じて人類に利益をもたらすと明確に主張していたのです。審査官が遺伝子改変マウスには人類に対する実質的な利益がないと結論付けたことは、事実の記録と矛盾しています。裁判所は、審査官が主張の正確性を十分に検討していないと判断しました。

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第二の問題について、審査官は、マウスおよびその使用に関する請求から、方法に関する請求へと補正したことが、元の請求の範囲を超えており、従って許容されないと判断しました。裁判所は、遺伝子改変マウス、抗原結合タンパク質、ターゲティングベクター、核酸構築物を作成する方法を請求している補正について分析しました。裁判所は、明細書または主題には変更がないと判断しました。
補正された請求の主題は、明細書に開示されていました。しかし、審査官は元の請求と補正された請求のみを検討し、明細書全体は考慮に入れていませんでした。裁判所は、デリー高等裁判所によるAllergan Inc対Controller of Patentsの画期的な判決に基づいて、補正の決定には、単に補正前の特許請求の範囲を文言のみで限定的に解釈するのではなく、補正前の請求の明細書全体を考慮すべきであるとしました。したがって、審査官による補正の拒否には根拠がなく、裁判所は審査官の命令を取り消しました。
裁判所は特許庁に対して、出願の補正を再検討するよう指示しました。再検討の際には無意識の偏見が影響しないよう、最初に判断を下した審査官以外の職員が、その手続きを担当すべきです。特許庁は、同法第3条(b)のもとでこの請求が特許には不適格であるかどうかを、事実に基づいて客観的に評価しなければなりません。新たな審査官は、補正された請求を検討し、事実に基づいて分析する必要があります。最終的な命令は合理的かつ理性的であるべきです。判決では、補正に対する事前承認は、より幅広い基準で決定されるべきであるとしています。補正された請求は、元の請求を単に文言だけで解釈されるのではなく、明細書全体の詳細に照らして考慮された上で、許可されるべきなのです。
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