シンガポールと台湾において、経営難に陥った企業の再編に関する枠組みがより透明性を増しています。
シンガポールにおける倒産および事業再生の最新動向
シンガポールの包括的な2018年「倒産、再編、精算に関する法律」(IRDA)は、2020年7月30日に施行され、それまで別個の法体系で規定されていた法人および個人の倒産手続きを統合しました。IRDAはまた、国連国際商取引法委員会の国際倒産モデル法(以下、モデル法)をシンガポール法に組み入れたものです。
IRDAは、新型コロナウイルス感染症パンデミックによってもたらされた混乱や倒産の長期的な影響と相まって、シンガポールの裁判所での倒産事案をめぐる訴訟件数が増加する結果となっています。本稿では、シンガポールの最高裁判所であるシンガポール上訴裁判所(SGCA)の4つの判決を考察していきます。
実際の債務超過の判定基準

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2021年のSun Electric Power対RCMA Asiaのケースにおいて、SGCAは、当時の会社法第254条第2項(c)〔現IRDA第125条第2項(c)〕の下で、会社が債務支払不能にあるか否かを判断する基準を明確にしました。同裁判所はこの条項に基づいて、実際に支払不能性を判断する唯一かつ決定的な基準がキャッシュフロー・テストであると判示しました。
キャッシュフロー・テストとは、「会社の流動資産が流動負債を上回り、債務の支払期日にすべての債務を履行できるか否か」を評価するものです。「流動資産」および「流動負債」は通常、12カ月以内に現金化または支払い期日を迎えるものを指します。SGCAは、会社のキャッシュフローの評価にあたっては柔軟なアプローチを取るべきだと強調し、以下のような要素を挙げていますが、あくまで例示であり、これらに限定されるものではありません。
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- 支払い期限が到来している、または合理的に近い将来に到来する債務額
- 支払い請求がなされているか、または請求される可能性があるか
- 債務不履行の有無、不履行の金額および期間の長さ
- 清算手続開始からの経過時間
- 流動資産および合理的に近い将来に現金化可能な資産の価値
- 予想される純キャッシュフローに基づく会社の事業状況
- 合理的に近い将来に見込まれるその他の収入または支払い
- 資産不足を後日返済可能な借入れによって補填できるかを判断するための、会社と、銀行および株主等、将来の貸手との間の取り決め
モデル法の適用

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2021年のUnited Securities Sdn Bhd(管財・清算中)対United Overseas Bankのケースにおいて、SGCAはモデル法第20条第1項および第2項を検討し、外国倒産手続の承認後にシンガポールの法的手続の停止を認めるための要件を明確にしました。
SGCAは、訴訟手続の停止は、シンガポールにおける同種の倒産手続において停止が認められる場合に限って承認されると判示しました。言い換えれば、手続の停止が認められるか否か、もしそうならば認められる範囲はどこまでかについては、引き続きシンガポールの国内倒産法が適用されるということです。
そのため、シンガポール裁判所がマレーシアの清算手続を、シンガポールでの訴訟手続きを停止できる外国の主たる手続として認めていたにもかかわらず、United Overseas Bank(UOB)がUnited Securitiesに対してシンガポールで提起した訴訟手続の停止は認められませんでした。これは、UOBが“一応(prima facie)”有担保債権者であると認められたためです。シンガポール法の下では、たとえ債務者の清算手続に伴って訴訟手続の停止が生じていたとしても、担保権者が担保権を実行するための訴訟を継続することについては、裁判所の許可が容易に得られます。
SGCAはまた、モデル法第2条(h)の下で外国手続が承認されるために必要な累積的要件をあらためて確認しました。それは以下の通りです。
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- 債権者全体の権利、義務および請求権の検討と処理を目的とする集合的手続でなければならない
- 倒産または財政的困難を扱うか、それに対処するという点において、倒産に関する法律に基づくものでなければならない
- 外国裁判所が債務者の財産および業務について管理または監督しなければならない
- その目的が債務者の再建または清算でなければならない
仲裁対再編
倒産制度と仲裁制度の相互作用の重要性は、2025年のSapura Fabrication Sdn Bhd対GASのケースからも明らかです。ここでは当事者が和解に達し、上訴が取り下げられたにもかかわらず、SGCAは判決を下しました。この判決において、SGCAはシンガポール裁判所が仲裁に有利なモラトリアムの適用除外(カーブアウト)を自動的に認めることはないと明確に示しました。
このケースは、仲裁請求を進めることを可能にするために自動モラトリアムからの適用除外の申請を含むものでした。SGCAは、このような適用除外を認めることは裁判所の裁量事項であると判示しました。
適用除外を認めるためには「例外的事情」がなければならないとの主張を退け、SGCAは、シンガポール裁判所が、2023年のWang Aifeng対Sunmax Global Capital Fund 1 and anotherのケースで定められた要素を考慮することを明確に示しました。これらの要素には以下が含まれますが、これらに限定されるものではありません。
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- 適用除外申請の時期
- 請求の性質
- 既存の救済手段
- 請求の根拠
- 債権者または再編手続の円滑な遂行に対する不利益の有無
- 許可の付与により大量の訴訟が誘発される可能性、スキーム会社の資源に対する手続費用の妥当性、多数債権者の見解など、その他の諸要素
Sapura Fabricationのケースでは、仲裁請求が複雑であったため債権認定手続には適さないと判断されました。したがってSGCAは、もし上訴が続行していたとしても、上訴を棄却し、モラトリアムの適用除外(カーブアウト)を認める判断をしただろうとの見解を述べました。
スキームと債権者

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このケースは、コロナ禍中に経営破綻し、問題となった石油取引会社Hin Leong Trading(HLT)の清算で生じたものです。2025年のUT Singapore Services Pte Ltd対Goh Thien Phong and othersのケースにおいて、HLTの清算人は、HLTの資産約8000万米ドルを仮配当として債権者に分配するためのスキーム・オブ・アレンジメントを提案しました。
注目すべきは、このスキームが、担保権の存否が争われている債権者に対しても、その担保権の事前の簡易判定なしに配当を行うことを規定していた点です。したがって、SGCAは、債権者の権利が不確実であるか、係争中の場合におけるスキーム・オブ・アレンジメントでの債権者の分類について判断を示しました。
SGCAは、担保権の存否や内容が不確実で係争中の債権者についても、スキーム・オブ・アレンジメントにおいて単一のクラスにまとめることができると判示しました。
この文脈において、債権者の権利を評価するための適切な比較対象は、債権者が自らの請求を確定するために訴訟を提起した場合に直面するであろう状況でした。その状況には結果の不確実性および関連する訴訟費用が含まれていました。
適切な比較対象は、各債権者の確立された権利および優先順位に従った資産の分配ではありませんでした。したがって、本スキームは、担保権に関して不確実な請求を妥結する内容となっていました。
上記の見解に従い、SGCAはまた、こうした不確実な請求を対象とするスキームについては、特に請求が複雑で簡易判定に適さない場合、分類のためにそれらの請求を決定する組み込み型の審理メカニズムを備える必要はないと判示しました。
債権者による多様な請求から生じる複雑さ、並びに、関連する費用、財産価値が希薄化する可能性を考慮した上で、SGCAは、HLTの清算人が提案するスキームがHLTの債権者に重大な利益を提供するものであるとして、そのスキームを支持しました。
今後の展望
シンガポールは、倒産および債務再編に関する主要な国際的な拠点となるという野心を明確に掲げてきました。2021年のIRDA導入後も、事業再編および倒産の枠組みは改良され、発展し続けています。
2025年3月という直近のタイミングにおいて、シンガポールの企業再編および倒産制度の強化を目的とする委員会は、司法管理制度の強化、スキーム・オブ・アレンジメントにおけるクロスクラス・クラムダウン基準要件の改善、全体としてより効率的な債務再編の実現等を目的とする9項目の勧告を提出しました。
今後もさらなる立法上の改善や判例法上の実質的な進展が期待されます。

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台湾における再編および破産法への道筋
企業は、効率を高めて資源を最適化するために、しばしば財務上または税務上の観点からグループ内での再編を行うことがあります。より深刻な財政難に直面した場合には、債権者の利益を保護し、再建への道を模索するために、破産や更生といった正式な手続きが必要となることがあります。
内部再編であれ、裁判所の監督下での手続きであれ、これらの仕組みは、企業が変化する状況に適応するための重要な手段となります。台湾には、再編および破産手続きを円滑に進めるための確立された法制度があります。
再編の選択肢

パートナー
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台北
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再編はグループ企業内で一般的に行われており、しばしばグループの資源や事業運営の統合や調整を通じて、プロセスを合理化し、効率性の向上を図ります。グループ再編を行う際には、グループ全体の利益を最大化するために、業務への影響、規制遵守、財務上の取り決め、税務上の影響など、多岐にわたる側面を考慮することが不可欠です。
グループ再編は、事業の目的やグループの目標に応じてさまざまな形態を取ることができます。これには、株式譲渡、資産譲渡、会社分割、株式交換、株式移転などが含まれます。グループの資源を統合することを目的として2社を1社に統合する場合、主に2つの選択肢があります。
合併を行う場合、第三者(契約の相手方など)から個別の同意を得る必要はありません。代わりに、合併の効力発生日には、取得会社が被取得会社のすべての資産および負債を引き継ぐことになります。したがって、合併は、資産、契約、従業員が法律の規定に基づいて統合後の会社に移転されるため、よりシンプルな方法です。ただし、被取得会社から取得会社への資産の名義変更には追加の手続きや費用が発生する場合があります。
資産譲渡については、譲渡者がその事業または資産の全部または大部分を譲受者に譲渡する場合(M&A法が適用される場合)、第三者から個別の同意を得る必要はありません。譲渡者の一部の資産が直ちに譲渡できない場合、譲渡者の清算前に当事者間で移行サービス契約を締結し、事業を中断することなく運営を継続することができます。ただし、清算手続きには追加の時間と費用がかかる場合があります。
再編の選択肢を決定する前に、譲渡者名義の登録資産(知的財産権など)や、直ちに譲渡できない仕入先の資格が存在しないかどうかを確認することが重要です。全体のスケジュールや費用を慎重に評価し、最も適切な再編方法を決定する必要があります。
倒産

カウンセラー
Lee and Li
台北
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企業は、更生が必要となる課題に直面する、またはより深刻な場合には倒産に至る場合があります。
台湾では、会社が払込資本の半分に相当する損失を被った場合、取締役会は次回の株主総会でその損失を報告しなければなりません。会社の資産が債務を満たすのに不十分な場合、取締役会は破産を宣告しなければなりません。ただし、会社が公開会社であり、再生の見込みがある場合には、資格を有する利害関係者が、台湾会社法に基づき裁判所に更生を申し立てることができます。
破産手続き:台湾破産法の下では、その会社の債権者の一人または複数が裁判所に破産申立てを行うこともできます。申立てを受理した後、裁判所は7日以内に決定を下しますが、さらに7日間延長することができます(ただし、実際には倒産案件が複雑であることから手続きが長引く傾向にあります)。
裁判所は通常、申立人に対して、申立てが破産手続きの前提要件を満たしていることを証明するよう求めますが、必要に応じて債務者、債権者、その他の利害関係者に対する聴取を行い、必要な調査を実施することもあります。
破産宣告の効力:破産が宣告されると、債務者は破産財産に分類される財産の管理および処分権を失います。さらに、債権者による債権の強制執行は、破産宣告前に質権、抵当権または先取特権によって担保された債権を除き、すべて停止されます。
裁判所は通常、公認会計士、弁護士、または債務者の事業分野で評判の高い人物など、公正な専門家の中から破産管財人を任命します。管財人には、債務者による無償行為または有償行為の取消し、債務者の財産目録や債権者名簿の審査・確認、破産財産の分配など、幅広い権限が与えられます。管財人はこの権限の下、善管注意義務をもって行動しなければならず、裁判所の監督下に置かれます。
債権者の権利:破産が宣告されると、裁判所は破産宣告後15日~3カ月の間で債権者の債権届出のための期間を定め、最初の債権者集会の日程を決定します。この集会は、破産宣告日から1カ月以内に開催されなければなりません。指定された期間内に債権の届け出を行わなかった場合、当該債権が担保されていない限り、破産財産からの弁済を受けることができません。
最初の債権者集会では、破産財産の管理方法や債務者の事業継続の可否などについて決議が行われます。破産法に別段の定めがない限り、これらの決議は、集会に出席した債権者の過半数で、かつその債権総額が全体の過半数を占める債権者によって可決されます。債権の認否に対する異議は、最初の債権者集会が終了するまでに申し立てなければなりません。
破産財産の分配:債権者から債権の届け出を受けた後、管財人は分配計画を作成し、裁判所の承認を得て債権者が閲覧できるように公開します。異議がある場合は15日以内に申し立てる必要があります。異議がなければ、破産財産は現金化した上で、債権者の優先順位に従って分配されます。
更生による再生の機会:前述の通り、会社が公開会社であり、再生の見込みがある場合、会社、または資格を有する株主、従業員、労働組合などの利害関係者が裁判所に更生を申立てることができます。
裁判所は、会社に更生の見込みがあるかどうかを評価するため、予備審査を行います。近年の事例では、会社が価値ある技術や事業運営能力を保持し、主要債権者の支援があったことから、更生が認められています。
しかし、会社の資産不足が深刻であったり、事業が停止していたり、実現可能な更生計画を提案できなかったり、債権者から明確な反対があったりした場合などは、裁判所はこのような申立てを却下することも珍しくありません。
外国人投資家は、自身の具体的な状況に応じて、法律、財務、税務の専門家に十分な相談を行うことが強く推奨されます。
Lee and Li8F, No.555, Sec. 4, Zhongxiao E. Rd.,
Taipei 11072, Taiwan, R.O.C.
Tel: +8862 2763 8000
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