日本の「労働者」の立場と新たなフリーランス法への対応

    By 赤崎雄作 • 大澤武史 • 河野大悟/中央総合法律事務所
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    日本では、出生率の低下と高齢化による避けられない結果がますます顕著になり、さまざまな業界が労働力不足に直面しています。人材確保は極めて重要であることから、これは企業にとって明らかに課題となっています。

    Yusaku Akasaki
    赤崎雄作
    パートナー
    中央総合法律事務所
    大阪
    Tel: +81 6 6676 8839
    Email: akasaki_y@clo.gr.jp

    雇用契約に基づいて労働者を採用する場合、日本の労働関連法、例えば労働時間に関する規制や解雇に対する厳格な制限などの厳しい規定が必然的に適用されます。そのため、人材をより柔軟に活用するために、多くの企業は雇用契約ではなく、業務委託契約などの取り決めを通じて人材の活用を検討しています。

    日本の労働関連法は労働者に有利な規定であるため、労働基準法の下で「労働者」に該当するかどうかの判断は、企業にとって特に重要です。たとえフリーランスとの契約であっても、特定の状況下では企業がさまざまな法的責任を負う可能性があります。

    本稿では、労働基準法に基づいて個人が「労働者」として分類されるための法的基準の概要と、併せて最近施行されたフリーランス法についても概説します。

    「労働者」の判断基準

    Takeshi-Osawa
    大澤武史
    パートナー
    中央総合法律事務所
    京都
    Tel: +81 75 257 7411
    Email: osawa_t@clo.gr.jp

    労働基準法上の「労働者」に該当するかどうか、すなわち賃金や労働時間、関連する保護に関する規定の適用対象となるかどうかは、契約の形式や名称、すなわちそれが雇用や業務委託の合意、あるいは請負契約や業務委託契約などの委託の形態をとっているかどうかによって決まるものではありません。

    むしろ、契約の実質的な条項、業務の提供方法、報酬の性質、その他関連する要素を考慮して、個別事案ごとに判断されます。

    主な判断基準は、

      1. 労働が他者の指揮・監督下で行われているか、
      2. その監督下での労働またはサービスの提供に対して報酬が支払われているか、です。

    労働が監督下で行われているかどうかを判断する際に考慮される要素としては、当該個人が業務や指示の受諾・拒否の自由を有するか、業務の遂行が監督されているか、勤務地や労働時間に制約があるか、当該労働者に代わる代替労働者が存在するか、などが挙げられます。

    報酬については、他者の指揮・監督下でサービスを提供したことに対する対価として認識されているかどうかが、判断の決め手となります。

    さらに、個人が自らの機材を提供することで事業リスクを負っているか、他社で働くことが可能か、他の事業体と自由に取引できるか、といった追加の要素も分析に影響を与える場合があります。

    進行中の政策議論

    Daigo Kawano
    河野大悟
    アソシエイト
    中央総合法律事務所
    大阪
    Tel: +81 6 6676 8839
    Email: kawano_d@clo.gr.jp

    前述の通り、単に契約を業務委託契約と称するだけでは、それが実質的に雇用契約とみなされる可能性を排除するものではありません。当該個人がひとたび「労働者」と認定されれば、労働基準法が適用され、解雇に対する厳格な制限などが課される場合があります。

    厚生労働省は、現行の枠組みが変化し多様化する働き方に十分対応できていないとの理由から、労働基準法に基づく「労働者」の定義の基準を再検討するための研究会を設置しています。

    これらの基準が将来的に再構築される場合、日本の労働市場に大きな影響を及ぼすことが予想されるため、今後の動向を注視する必要があります。

    フリーランス法

      1. 立法背景と施行:2024年「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称「フリーランス法」)は、日本における働き方の多様化、特にギグワーカーが急増するデジタル経済において、フリーランスとしての働き方が急速に拡大している状況に対応して、昨年施行されました。

    フリーランスは、報酬の遅延や未払いなどの問題に頻繁に悩まされ、また、企業クライアントとの交渉力や情報へのアクセスの格差にも直面しています。フリーランス法は、より安全な労働環境の提供を目的としています。それゆえ、フリーランス法の適用対象となる企業は、その義務や禁止事項を遵守しなければなりません。

      1. 関連する事業者および取引:フリーランス法は、主に特定業務委託事業者(以下を参照)が特定受託事業者に業務委託をする場合に適用されます。
          1. 業務委託(第二条第3項):これは、事業者が自己の事業のために、他の事業者に物品の製造(加工を含む)や情報成果物の作成を委託すること、または事業者が自己の事業のために、他の事業者にサービスの提供を委託すること(他の事業者に自社へサービスを提供させることを含む)と定義されています。
          2. 特定受託事業者(第二条第1項):この区分には、(i)労働者を雇用しない個人、(ii)代表者が1人のみで、他に役員や従業員がいない法人が含まれます。この場合の「労働者」の雇用とは、31日を超える期間、週20時間以上働くことが見込まれる者を雇用することを指します。個人事業主が同居親族のみを雇用している場合、これらは雇用労働者とはみなされません。特に「一人法人」もこの区分に含まれます。
          3. 業務委託事業者および特定業務委託事業者(第二条第5項および第6項):業務委託事業者とは、特定受託事業者に業務委託をする事業者を指します。ある当事者が特定の契約事業者へ業務委託をしているとみなされるかどうかの問題は、実質的な根拠に基づいて判断されるものであり、単に当該事業者と業務委託契約を締結しているという事実だけでは、それだけで業務委託事業者として分類するには十分ではないことに留意が必要です。

    さらに、個人事業主やいわゆる一人法人も業務委託事業者の範囲内に該当する場合がある点に注意を払う必要があります。こうした業務委託事業者が労働者を雇用する場合、または複数の役員を有する場合は、特定業務委託事業者となります。下請法と異なり、個人や資本金1000万円(6万8000米ドル)未満の法人の業務委託事業者であっても、フリーランス法の適用対象となります。

      1. 業務委託事業者の主な義務:(a)取引条件の明示(第三条):業務委託に際して、業務内容、報酬、支払期限などの取引条件を、速やかに書面または電磁的方法で明示しなければなりません。
        1. 支払期限(第四条):特定の契約事業者から成果物の提供を受けた日から60日以内、または再委託の場合は上流クライアントから支払いを受領した日から30日以内に支払いを行わなければなりません。
        2. 禁止行為(第五条):1カ月以上継続する業務委託に関して、特定業務委託事業者は以下の行為を行ってはなりません。
          1. 特定受託事業者に責めに帰すべき事由がないのに、受領を拒否すること
          2. 特定受託事業者に責めに帰すべき事由がないのに、報酬を減額すること
          3. 著しく市場相場を下回る報酬を不当に定めること
          4. 正当な理由なく物品の購入やサービスの利用を強制すること
          5. その他、特定受託事業者の利益を不当に害する行為を行うこと
      1. c. 就業環境の整備:特定業務委託事業者は、以下の事項も遵守しなければなりません。
          1. 募集情報の的確な表示(第十二条):募集情報が正確かつ最新であることを確保し、虚偽や誤解を招く表示をしないこと
          2. 育児・介護との両立への配慮(契約期間6カ月以上の場合)(第十三条):6カ月以上(更新により6カ月を超える場合を含む)の業務委託契約において、特定受託事業者から育児や介護との両立に配慮を求められた場合、適切な配慮を行うこと
          3. ハラスメント防止措置の整備(第十四条):特定業務委託事業者は、特定受託事業者に対するハラスメントに対処するための相談・支援体制を整備する義務を負うこと
          4. 契約解除・非更新の事前通知(契約期間6カ月以上の場合)(第十六条):6カ月以上継続する業務委託契約については、原則として少なくとも30日前までに契約解除または非更新の通知を行うこと

    結論

    事業運営において人的資源の活用は不可欠です。日本で事業を行う企業は、必然的に日本国内で人材を確保する必要があります。売り手市場においては業務委託契約の活用に困難が伴う場合もありますが、事業上の需要の変動に柔軟に対応する必要性から、企業は引き続きこうした契約形態を検討しています。

    業務委託契約が有効に維持されている場合でも、企業は労働環境の改善義務を含む、フリーランス法に基づく義務を認識しておく必要があります。

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