香港のコーポレート・ガバナンス・コードの改正

    By Li Fai • Zoe Kwok • Theresa Lam/Theresa Lam
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    コーポレート・ガバナンスとは、会社がいかに指揮・統制されるかを導く規則、ポリシーおよび慣行の枠組みのことです。上場企業にとって、強固なコーポレート・ガバナンスは、単なる法的要件にとどまらず、長期的な持続可能性、投資家の信頼、経営効率を確保するための重要な要素となります。

    Li Fai
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    Jingtian & Gongcheng
    香港
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    香港証券取引所(以下、SEHK)は、最近、コーポレート・ガバナンス・コード(以下、CGコード)および証券上場規則(以下、上場規則)を改正・更新しました。これらの改正は2025年7月1日より施行され、2025年7月1日以降に開始する会計年度のコーポレート・ガバナンス報告書および年次報告書に適用されます。独立非業務執行取締役(以下、INED)の兼任制限および在任期間に関する経過措置については後述します。これらの変更は、香港の上場会社における透明性、説明責任、持続可能性の向上を目的としています。今回の改正は世界的なベストプラクティスと整合し、より強固なガバナンスの枠組みを求める投資家の要求に応えるものです。

    以下、CGコードおよび関連する上場規則について、いくつかの主要な変更点を取り上げて解説していきます。

    取締役会の説明責任

    筆頭INED(筆頭独立非業務執行取締役):CGコードが推奨するベストプラクティスによれば、取締役会の議長がINEDでない場合、上場発行体は、他の取締役および株主との間の仲介者として機能し、議長や経営陣との意思疎通が不十分な場合にはその代替的なコミュニケーション・チャネルとして行動する、筆頭独立非業務執行取締役(以下、筆頭INED)を指名しなければなりません。筆頭INED(指名された場合)の役割については開示の義務があります。筆頭INEDは、他のすべての取締役と同様に、同一の受託者責任および同等の責任を負います。筆頭INEDの導入により、取締役同士のコミュニケーションおよび取締役と投資家間のコミュニケーションは強化され、円滑化されます。

    株主とのエンゲージメント:発行体は、CG報告書において、取締役会と株主とのエンゲージメントについて、その性質や頻度、関与した株主や会社代表者、フォローアップの方法などの開示を強化する必要があります。

    Zoe Kwok
    Zoe Kwok
    アソシエイト
    Jingtian & Gongcheng
    香港
    Tel: +852 2926 9409
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    取締役向け必須研修:香港上場発行体の取締役は毎年継続して、専門能力開発研修の受講を義務づけられています。研修の主なテーマには、取締役の職責および発行体の義務、主要な法的・規制上の最新動向、コーポレート・ガバナンス、環境・社会・ガバナンス(ESG)、リスク・マネジメントおよび内部統制、業界特有の最新情報や動向などがあります。発行体は、CG報告書において、各取締役の研修時間数(最低研修時間数の設定は不要)、研修内容、研修の実施方法(対面またはオンライン)、研修提供者の名称を開示する必要があります。取締役に初めて就任する者で、就任前の直近3年間に香港上場発行体の取締役を務めた経験のない者は、就任後18カ月以内に少なくとも24時間の研修を修了しなければなりません。

    過去に関連する経験を有する者は、就任から18カ月以内に12時間の研修を修了する必要があります。

    取締役会の業績評価:香港上場発行体は、2年ごとに取締役会の業績に関して正式な評価を実施しなければなりません。その主な調査結果はCG報告書で開示する必要があります。発行体はまた、以下について開示しなければなりません。

      1. 取締役会の現在のスキル・マトリックス、
      2. 取締役のスキル、経験、多様性の組み合わせが、会社の目的、価値、戦略、望ましい企業文化にいかに資するか、
      3. さらなるスキルを取得するための詳細および計画。単に取締役の資格や経験を列挙するだけでは不十分です。この業績評価とスキル・マトリックスは、取締役会が不足するスキルや専門知識を特定し、取締役会の構成が、刻々と変化する事業課題に対応していることを保証するのに役立ちます。

    INEDの兼任制限:各INEDが取締役として就任できるのは、同時に最大で香港上場会社6社までに制限されます(この厳格な上限は、2028年7月1日以降に開催される最初の年次株主総会から、既存の上場会社に適用されます)。指名委員会は、各取締役の時間的コミットメントや貢献度を毎年評価し、CG報告書で開示しなければなりません。この上限により、INEDが各取締役会の役職に十分な時間を割くことが確保され、取締役は各会社の業務へ有意義に関わっていることを示す必要があります。

    INEDの在任期間:9年連続で取締役を務めたINEDは、自動的に独立性の地位を失います。この9年の厳格な任期上限によって、定期的に取締役会に新たな視点がもたらされ、客観的なチェック・アンド・バランス機能というINEDの役割が強化されます。取締役として職務を継続するには、INEDは非業務執行取締役(NED)として再指定されるか、いったん退任して3年間の冷却期間を経た後、INEDとして復帰することができます。この制度により、経験豊富な取締役は取締役会に関する知見を維持しつつNEDとして引き続き在任することができ、3年間の冷却期間は、INEDとして復帰する際に真の独立性を確保することが目的です。CG報告書では各取締役の在任期間を明記しなければなりません。2028年7月1日以降に開催される最初の年次株主総会までに、香港上場発行体は、長期在任のINEDが取締役を務めるINEDの過半数を占めないようにしなければなりません。そして2031年7月1日以降に開催される最初の株主総会までには、長期在任のINEDを取締役会から一切排除しなければなりません。

    多様性とインクルージョン

    ジェンダー多様性:香港上場発行体は、その指名委員会に少なくとも1人の異なるジェンダーの取締役を含めることが義務付けられます。指名委員会は取締役会の構成を形成する極めて重要な役割を果たすため、ジェンダー多様性のある指名委員会は、取締役会の任命において幅広い候補者を検討し、取締役会の全体的な多様性を推進することが期待されます。

    多様性ポリシー:取締役会は、取締役会の多様性ポリシーの実施状況を毎年、見直すことが義務付けられています。加えて、発行体の従業員全体(上級管理職を含む)についても、多様性ポリシーが採択・実施されなければなりません。上級管理職および従業員のジェンダー比率は、CG報告書においてそれぞれ開示されなければなりません。

    リスク・マネジメント

    Theresa Lam
    Theresa Lam
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    リスク・マネジメントおよび内部統制:取締役会は、リスク・マネジメントおよび内部統制システムに関する年次評価を実施しなければなりません。この評価は、財務、運営、法令遵守を含むすべての重要な統制事項をカバーする必要があります。年次評価は必ずしも外部で実施する必要はなく、発行体の状況に応じた形で実施することが可能です。

    発行体はCG報告書で詳細な開示を行うことが義務付けられており、これには以下の事項が含まれます。

      1. リスク・マネジメントおよび内部統制システムに対する責任を認め、これらのシステムが適切かつ有効であることを確認する取締役会の声明、
      2. 導入しているリスク・マネジメントおよび内部統制システムの主な特徴(重要なリスクを特定、評価、管理するために使用されるプロセス、およびタイムリーかつ正確な開示を確保するための手続きを含む)、
      3. リスクの評価、ならびにリスク・マネジメント、内部統制システムにおける重要な変更、
      4. 内部監査機能の有無、
      5. 評価に関する内部部門および外部提供者の責任、
      6. リスク・マネジメントおよび内部統制システムについての評価のプロセス、および評価の頻度、
      7. 評価の範囲、
      8. 評価中に特定された、または以前に報告され未解決のままになっている重要な統制上の不備または弱点の結果と詳細、および講じられた、あるいは、提案された是正措置。

    上記の開示には、発行体のリスク・マネジメントおよび内部統制システムが適切かつ有効であることについて、取締役会、関連する取締役会委員会、その他の内部統制部門、発行体の独立監査人、および/または、その他の外部サービス提供者からの確認を含める必要があります。

    株主とのエンゲージメント

    配当ポリシー:配当ポリシーを有する発行体は、CG報告書において当該ポリシーの詳細を開示することが義務づけられています。発行体は、取締役会による配当決定が配当ポリシーと整合していることを確認しなければなりません。配当ポリシーを有しない発行体は、この事実を宣言し、存在しない理由を説明しなければなりません。加えて、当該年度中に配当が宣言された場合、前年同期と比較して配当率に重要な変動があれば、その理由を開示しなければなりません。取締役会が配当を宣言しないと決定した場合、発行体はその理由と、将来的に投資家のリターンをどのように改善する計画であるかを開示すべきです。

    結論として、SEHKによるコーポレート・ガバナンス規則の改正は、説明責任、持続可能性および投資家保護の一層の強化に向けた転換点を示すものといえます。これらの変更によって、短期的にはコンプライアンスのための負担が増加する可能性はありますが、一方では、香港を、責任があり透明なコーポレート・ガバナンスの先進市場として位置づけるでしょう。上場発行体はこれらの規制変更を、コーポレート・ガバナンス体制を強化し、持続可能で長期にわたる成長の実現を促すための好機と捉えるべきです。

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