47年の歴史を誇るJollibee Groupのグローバル法務責任者として、世界各地で至る所で見られる笑顔の真っ赤な蜂のキャラクターと同じくらい、Valerie Feria Amante氏は多忙な日々を送っています。6カ国にまたがる33人の弁護士とパラリーガルのチームを率い、さらに、このコングロマリットの19もの国内外のブランドの法務業務を担当しているのです。この状況は、彼女がJollibee Groupに入社した2007年と比べると天と地ほどの差があります。なぜなら当時、法務チームに所属していたのは弁護士1人、パラリーガル2人だけだったのです。
かつてはSyCip Salazar Hernandez & Gatmaitanで弁護士を務めていたこともあるAmante氏は、フィリピンのファストフード大手が世界市場へ進出して目覚ましい飛躍を遂げる姿を目の当たりにしつつ、その達成のために貢献してきました。その仕事の一つが、最近完了した香港のミシュラン星付きレストランチェーン、Tim Ho Wanの完全買収でした。
これはフィリピンにおける成功物語の進化形であり、その成功において彼女の果たした役割は、この象徴的な国民的ブランドに対する彼女の誇りと献身によって一層際立っており、過小評価することはできません。しかし、Amante氏は決してその栄光に浸っているわけではありません。彼女は自分の会社に対して燃えるような野心を抱いており、彼女の実績を見れば、それが実現することは時間の問題でしょう。
今回のAsia Business Law Journalのインタビューで、Jollibeeの法務責任者であるAmante氏は、世界各地でさらなる取引やプロジェクトに邁進する「真っ赤な蜂」を、彼女と33人の弁護士とパラリーガルから成るチームがいかに法的リスクから守っているのか、また、民間法律事務所から企業内弁護士に転身した彼女の個人的なキャリアについて、そしてこの国際的な企業における自身の目標について語りました。
Asia Business Law Journal(以下、ABLJ):2000年代初頭、どのように、また、なぜ、法曹界でのキャリアをスタートさせたのですか?
Valerie Feria Amante氏(以下Amante氏):企業内弁護士になることが、私の強みを活かし、将来のビジョンに沿った有意義なキャリアを築くための最善の方法だと信じていました。この目標のために、私は最初の数年間は最高の専門家から学び、その後、企業に転身するつもりで、一流の法律事務所でキャリアをスタートさせることを選びました。
ABLJ:約18年前、Jollibee Groupでの企業内弁護士としてのキャリアはどのように始まりましたか?
Amante氏:Jollibee Groupが提供した飛躍的に成長できる機会に飛び付きました。誇り高きフィリピン人として、象徴的な自国のブランドが世界の舞台に躍進するに当たり、その一員になりたいと思いました。また、影響力を持ちたいと熱望する若い弁護士として、国際的な経験を積める可能性と、いつかグローバル法務チームを構築し、率いる可能性に心を躍らせました。

ABLJ:Jollibee Groupのグローバル最高法務・倫理・コンプライアンス・オフィサーとして、あなたの主な役割と責任を教えてください。
Amante氏:私の役割は、ガバナンス、法務、倫理、コンプライアンスの推進を主導し、これらが企業レベルの戦略的意思決定に組み込まれるとともに、事業運営全体に浸透するよう保証することです。これには、会社の法務戦略を策定すること、法的イネーブラーを活用して価値を共創するために法務チームの取り組みを主導すること、会社の事業目標を追求する中で法的リスク管理およびガバナンスを通じて価値を保護することが含まれます。
ABLJ:Jollibee Groupには国内外に19ブランドと地域オフィスがありますが、現在のグローバルなビジネス環境において、法的リスクとコンプライアンス・リスクからグループを守るために、どのようにクロスボーダー法務チームを統括しているのでしょうか?
Amante氏:弊社のさまざまなオフィスに所属する弁護士は多様な視点から学び、お互いの専門的知見の最良な部分を活用しながらグローバル・スタンダードを策定しています。それらは、私たちが共創したものであるため、全員が自ら保持し、遵守しています。多国籍チーム内および社内外のステークホルダーの中で信頼を獲得し、強固な関係を築くことで、私たちは成果を生み出すコラボレーションを促進しています。
ABLJ:定期的または日常的な業務において、あるいはクロスボーダーの取引において、グループ内のフィリピン拠点および海外拠点のゼネラル・カウンシルや法務責任者とは、どのような形で、またどのような分野で連携しているのでしょうか?
Amante氏:Jollibee Groupのすべての法務責任者は、直接的または機能的にグローバル最高法務・倫理・コンプライアンス・オフィサー(CLECO)に報告し、業務の成果がCLECOの方針に沿うように調整・連携しています。また、グローバル・スタンダードだけでなく、ローカライズされるべき事項について連携しています。グローバルに適用される明確な承認フレームワークとエスカレーション・プロセスがあり、CLECOの承認が必要な事項、CLECOとの協議が必要な事項、およびCLECOへの情報提供のみが必要な事項を明確に区分して規定しています。
Jollibee Groupのすべてのクロスボーダー業務およびグローバル業務は、グローバル法務部門が一元的に管理しています。具体的には、M&Aや投資、資本市場関連の案件については企業・商事分野を担当するゼネラル・カウンセルが、IPポートフォリオ管理やクロスボーダー・デジタルイニシアチブ関連の案件については、グローバル担当の知的財産・デジタル・プライバシー分野のゼネラル・カウンセルが、その他のグローバル業務については各グローバル機能の法務ビジネス・パートナーが担当しています。
一方、フィリピン、北米、中華人民共和国などの地域の法務責任者、およびThe Coffee Bean and Tea LeafやSmashburgerなどのブランドの法務責任者は、それぞれの地域またはブランド内の業務に注力しています。
完全子会社ではないブランドのパートナーとのすべての関係における法務面、そして当該ブランドのすべての取締役会は、所在地を問わずグローバル法務部門が管理しています。
ABLJ:グローバル法務責任者と、倫理・コンプライアンス責任者として、どのようにこれら2つの役割を両立させ、また、それぞれの役割の性質の違いをどのように調整していますか?
Amante氏:私の役割は、最終的には共通の目的、つまり事業の成功を可能にしつつ、会社を守るという目的を果たすことがすべてです。つまり、私の主な法務上の役割は、優れたコーポレート・ガバナンスと法令遵守を推進し、法務戦略とイネーブラーを通じて価値を共創し、法的リスク管理とガバナンスによりその価値を保護することです。
また、私の主な倫理・コンプライアンス担当としての役割は、倫理的行動および法令遵守の基準を確立・推進し、倫理とコンプライアンスをビジネス慣行に組み込むこと、リスクが特定され、責任の所在が明確になり、適切に管理されることを確実にすること、さらに、違反や潜在的リスクを経営陣に警告するための仕組みを導入することなどです。これらの役割は相反するものではなく、信頼を築き、価値を保護し、会社が責任を持って運営されることを保証するという点で、互いに補強し合っています。

ABLJ:Jollibee Groupに入社して以来、直面された最大の課題と成果は何でしたか? また、その理由も教えてください。
Amante氏:私は2007年にシニア・マネージャーおよび「担当役員」として入社しました。入社当初の数カ月間は、フィリピンの弁護士1人とパラリーガル1人から成るチームで、中国で買収した会社のパラリーガルとも調整しながら業務を行っていました。
現在、私たちの法務チームは6カ国にオフィスを構え、弁護士とパラリーガル合わせて33人にまで成長しています。私は、組織体制の構築や弁護士の採用、ならびにオンボーディングや各部門の責任者との緊密な連携などにおいて、人事部と協力して業務に当たってきました。
ロースクールの卒業後数年でマネージャーとして入社した弁護士たちが、現在ではJollibee Group内でゼネラル・カウンセルとして活躍しており、またマニラを拠点とする複数の弁護士たちはそれぞれ、国内で最高の企業内弁護士として評価されています。
私たちの愛される国産ブランドが世界の舞台へと進出したとき、新たなブランドが私たちのポートフォリオに加わったとき、そして、これまでに称賛されたすべての投資やイノベーションにおいて、私たちのチームの弁護士が1人または複数人が、どこかの時点で業務に関わってきました。役員室からそれぞれの店舗にいたるまで、法務部門は支援する者として、また保護する者として存在しています。個人的なことで言えば、現在の弊社の19ブランドのうちの14ブランドの買収、ならびにその他すべての投資とプロジェクトに関して、私が法務業務を主導したことを特に誇りに思っています。
2007年から遂行してきた法務業務に加えて、私は2016年に倫理責任者に、2022年にコンプライアンス・オフィサーに任命されました。会社はこれらの役職において、私が適切なベストプラクティスの国際認証を取得できるよう支援し、私の学んだことを組織内に実装する権限を与えてくれました。
導入されたイノベーションの中には、会社の事業倫理規範や、24時間体制の国際的な多言語対応の倫理ホットラインがありました。2023年、私の役割は統合されて、Jollibee Groupの46年以上の歴史の中で初めて、グローバル最高法務・倫理・コンプライアンス・オフィサーに任命されました。
ABLJ:どのようにして、法務チームを現在の規模にまで拡大されたのでしょうか?
Amante氏:私たちはいま、フィリピン(メトロ・マニラ)、中華人民共和国(上海)、米国(ロサンゼルス、デンバー)、シンガポール、ベトナム(ホーチミン市)、アイルランド(ゴールウェイ)にオフィスを構えています。
法務チームの拡大は事業要件に基づくものや、CLECOと人事部との連携、ならびに関連業務の責任者と緊密に協力して、法務部門設置のための事業計画や特定の事業または地域に適した構造・組織へと調整された結果です。買収した事業の中には、法務部門がすでに設置されていたものもあります。法務部門の設立や企業内弁護士の採用は、常にCLECOの承認が必要です。
ABLJ:なぜ、Jollibee Groupの46年以上の歴史において初めて、法務、倫理、コンプライアンスの3つの役割が統合されたのでしょうか? また、その統合によって、あなたの仕事とキャリアにどのような影響がありましたでしょうか?
Amante氏:私は2007年にシニア・リーガル・カウンセルおよび担当役員として採用され、2008年から法務責任者を務めています。2016年、会社は倫理部門の設置を決定し、私にその設立・運営の責任が託されました。2020年の事業変革の一環として倫理を法務に統合するまで、法務と倫理はそれぞれ別個の部門として、私が同時に率いていました。
2022年にコンプライアンス・オフィサーが退職した際、私は取締役会からコンプライアンス機能も担当するよう指名され、結果として私は法務(価値の創造と保護に注力)、倫理(企業の健全性に注力)、コンプライアンス(法的および規制の遵守に注力)の3つの機能すべての責任を負うことになりました。これらの機能を一つの部門に統合したことによって、それぞれが強化され、相乗効果とリソースの最適化が実現しました。
ABLJ:この数年間、Jollibee GroupはTim Ho WanやCompose Coffeeから、BotristaやMoon Moon Foodに至るまで、直接もしくは海外子会社を通じて、複数のクロスボーダー買収に乗り出しました。これらの取引を行う過程において規制上の課題に対処するために、どのようにグローバル法務チームを指導して、取引を円滑に進めたのでしょうか?
Amante氏:私は2007年からすべてのM&Aの法務業務を担当してきました。現在の弊社の19ブランドのうち、14ブランドの買収における法務業務、そして、その他すべての投資・プロジェクトに関する法務業務を私が主導してきました。長年にわたって、私たちは取引に関する基準、方針、プロセスを進化させて文書化しており、それらを適切に実施しながら、取引ごとに学び、改善を重ねることで、継続的に発展させてきました。
私たちは、明確なリーダーシップと優れたプロジェクト管理によって支えられる、協力体制の整った部門横断型の取引チームを有しています。さらに、私たちのことをよく理解し、私たちのチームとシームレスに連携できる信頼のおける法律事務所のネットワークも構築しています。
ABLJ:現在の19ブランドのうち14ブランドの買収に関する法務業務を、どのように法務チームを率いて、成功裡に遂行されたのですか?
Amante氏:Jollibee GroupのすべてのM&Aと投資、並びにその他の重要な取引はグローバル法務部門が担当しており、私は取引チームの一員として積極的に関与しています。具体的には、外部弁護士への指示や指導、デューデリジェンスの結果の確認、そしてそれらを取引条件、取引構造、契約の確認や交渉に反映させる業務を行っています。当初は、私がすべての取引書類の起草を担当してプロセスを推進していましたが、現在はグローバル企業・商事担当のゼネラル・カウンセルがその役割を担っており、私は戦略的な方向性、技術的な指導、重要な事項、取締役会や上級経営陣との連携に注力しています。
同じ取引チームがすべての重要な取引に携わっているため、私たちは、原則や作業手順など、取引への明確で文書化されたアプローチを確立し、効率的に成果を出せるようにしています。
ABLJ:企業内弁護士として、またJollibee のグローバル・リーガル・チーフとして、現在の抱負や目標は何ですか? その理由も教えてください。
Amante氏:Jollibee Groupが世界の五大レストラン企業の一つとしての地位を確固たるものにして、同僚と共にそれを祝福する日が来るのを心待ちにしています。
それ以上に、弊社生え抜きの人材として誇りを持ち、社内から次世代の法務リーダーを育成し、安定性と継続性を確保しながら、法務機能を将来的にさらなる高みへと引き上げるような体制を整えていくべく尽力しています。
ABLJ:Jollibee Groupのどのような点(資質、倫理観、雰囲気、精神性など)が、あなたが18年間も在籍している理由なのでしょうか?
Amante氏:Jollibee Groupが世界の五大レストラン企業の一つになるというビジョンは、企業統治、戦略、倫理およびコンプライアンス、並びに法務リーダーシップの最前線でグローバルに活躍したいという私自身の願いと合致しています。
弊社のグローバルな展開は、多くの国々でポジティブな影響を与えるような、充実した専門業務を行う機会を提供してくれます。私は、さまざまな文化や背景を持つ多様な同僚と価値観を共有し、彼らから学びながら、愛されるブランドの構築と保護に貢献しています。
また、同僚と友情を育むことで仲間としての絆を深めており、この絆は「家族と楽しさの精神」という弊社の企業価値を体現するような、人を中心とした独自の文化によって育まれています。私は弊社の商品を信じており、自分の好きな食べ物を楽しむ喜びを分かち合うために尽力することに、大きな充実感を覚えています。
ABLJ:法務キャリア以外で、最も楽しんでいて最も大切にしていることは何ですか? また、その理由も教えてください。
Amante氏:夫と息子たちとの充実した時間が、刺激的な新たな体験であっても、自宅での日常的な安らぎのときであっても、私にとっての最優先事項です。また、大好きな読書、料理、歌といった趣味の活動で一人の時間を過ごして充電することや、健康とウェルネスに投資する時間も大切にしています。私は生涯にわたって学ぶことを信条としており、40歳で水泳を習い、50歳でオープン・ウォーターのスキューバ・ダイビングの資格を取得しています。


















