ロシアにおけるAI規制の進展

    By Georgy Daneliya • Shermet Kurbanov/SEAMLESS Legal (SL Legal)
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    ロシアは人工知能(AI)を規制するための法的枠組みを策定中ですが、専門家らによれば、包括的な規制を直ちに導入する必要はないとされています。むしろ、AIテクノロジーの開発者と利用者それぞれがどこまで踏み込めるのか、その境界を設定するための倫理的および技術的基準の改善に焦点を当てることで十分であるとされています。

    既存のロシアの規制は、直接的あるいは間接的にAIの開発と利用に影響を与えていますが、それは企業や開発者に慎重な考慮を求めるという一定の法的リスクを引き起こしている可能性があります。

    一般的な規制の進展

    Georgy Daneliya
    Georgy Daneliya
    カウンセル、アドボケイト、アジア・イニシアティブ責任者
    SEAMLESS Legal (SL Legal)
    Tel: +7 49 5786 4000
    Email: georgy.daneliya@seamless.legal

    AIの開発は国家政策の優先事項です。ロシアは国内のAI開発の主要な目標と方向性だけでなく、実施の仕組みを定めるいくつかの法令を採択しました。それには、以下のようなものがあります。

      1. 2030年までのAI開発国家戦略
      2. 2017年~30年のロシア連邦における情報社会発展戦略
      3. 2024年までの人工知能およびロボット技術の規制の開発に関するコンセプト
      4. 国家「デジタル経済」プログラムの下での、「人工知能」および「デジタル環境の規制枠組み」に関する連邦プロジェクト

    ただし、これらの文書はロシアにおけるAI開発の戦略的目標を反映しているに過ぎません。

    規制サンドボックス

    2020年、ロシアでAI開発の条件を整えるための法令が採択されました。その主要な内容は、実験的な法制度(ERL)、すなわち規制のサンドボックスの創設に焦点を当てています。規制サンドボックスとは、革新技術をテストモードで実施するためのツールです。

    ERLを創設するには、企業または個人起業家がプロジェクトを開発し、それを申請して、当局の承認を得る必要があります。

    知的財産

    ロシアを含むほとんどの国では、知的財産の規制はAIが生成したコンテンツを保護することはありません。著者が作品に創造面で貢献し、AIが単なるツールとして使用された場合には、その結果として生じたコンテンツは著作権で保護される可能性があります。

    第三者の権利:多くのAIシステムは大規模なデータセットでトレーニングされており、クエリの作成において、ユーザーにはほとんど制限がありません。その結果、以下のようなことが起こり得ます。

      1. (著作物を完全または部分的に)再現するような結果の生成、
      2. 実在の著者の作風の模倣。はIP規制の範囲外ですが、は違法となる可能性があり、部分的な再現であっても該当する権利者に対して責任を負うことになるかもしれません。たとえば、AIユーザーが著作権で保護された作品の個々の要素を再現する画像を作成した場合、「相当部分(重要部分)」の基準を使用して侵害を立証できる可能性があります。権利者には、対象物全体の使用だけでなく、その相当部分の使用も監督する権利があります。

    「相当部分」に該当するかどうかの判断は、単純に物理的な割合(例:作品の50%以上)によるものではありません。それは質的および量的基準に基づいて判断され、これらの基準は連動して作用します。一方が小さくなれば、他方が大きくなる必要があります。

    したがって、保護された作品の一部の個々の要素により生成物として再現されている場合、裁判所は、保護された(「相当」する)要素が使用されたかどうかを分析します。そして、そのような要素が見つかった場合、生成物の使用は違法と見なされる可能性があり、その使用が禁止されることになるかもしれません。

    個人データ

    Shermet Kurbanov
    Shermet Kurbanov
    アソシエイト
    SEAMLESS Legal (SL Legal)
    Tel: +7 49 5786 4000
    Email: shermet.kurbanov@seamless.legal

    個人データは、開発者がAIモデルを訓練する際や、ユーザーがさまざまな結果を生成する際、またはその他のケースなど、何らかの形でAIの運用に使用される可能性があります。これらの処理においては、個人データに関する法律を遵守しなければなりません。

    潜在的な問題は対象者の立場によって異なりますが、以下のようなものが挙げられます。

    ロシア法の域外適用:2022年、ロシアのデータ保護法に域外規定が追加されました。ロシア市民から契約または同意に基づいてデータを収集することは、外国の事業体にロシアの個人データ法を適用する十分な根拠と見なされます。

    処理の法的根拠:企業は、法的根拠(例:同意)がある場合にのみ個人データを処理することができます。

    機密データの使用:AIシステムは数多くの使用方法の中でも、とりわけ個人の声や画像を分析するために使用されることがあります。場合によっては、これらのデータは生体認証個人データとして分類され、より厳しい管理と規制の対象になります。

    ローカライゼーション:ロシア市民の個人データを収集する場合、その保存およびその他の特定の行為は、ロシア国内に置かれたデータベースを使用して行わなければなりません。

    国境を越えるデータ転送:データを国外に転送するには、

      1. 受信者の評価、
      2. 転送についての管轄当局(連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁)への通知など、特別な要件の遵守が必要です。

    自動的になされた意思決定:個人データに関する法律では、書面による同意なしに、個人データの自動処理のみに基づいて、法的効力のある決定を行ったり、もしくは対象者の権利に影響を与える行為をしたりすることを禁じています。

    個人データの安全性を保証するための法的、組織的、技術的措置の適用:これらの措置は主に個人データの取り扱いを適切に整備し、最終的にはその機密性を保護することを目的としています。

    人格権

    写真、ビデオ録画、人物を描写した芸術作品など、その人物の画像の公開やその後の使用には、一般的にその人物の同意が必要です。

    人格権は個人(その個人の外見、芸術的または日常的なイメージ、声、その個性を感じ取れるようなその他の表現など)から切り離すことができず、法律によって保護されています。したがって例えば、その個人の声(生成された声を含む)は保護されており、その使用には同意が必要です。

    広告

    AIは広告素材の作成に使用される可能性があり、その後の広告配信では広告関連法を遵守しなければなりません。

    この法律は広告に関していくつかの要件を定めています。広告はとりわけ、真実であり、公平で、必要な情報をすべて含み、倫理的でなければなりません。特定の対象物(例:アルコール、医療機器、金融サービス)に関する公告には、追加の要件が設けられています。AIを使用して広告素材を作成する場合、結果として得られる成果物が法的要件を満たしていることを確認する必要があります。

    禁止情報

    ロシアの法律はさまざまな種類の禁止情報を定義しています。禁止情報が特定された場合、当局は(多くの場合、通信事業者やホスティング・プロバイダーの協力を得て)情報リソースをブロックする手続きを開始します。禁止情報が削除された場合、恒常的な制限である場合を除いて、アクセスが回復される可能性があります。

    ブロックの手続きは情報の種類(例:裁判外によるブロックまたは裁判によるブロック、通知の有無など)によって異なる場合があります。

    企業がAIを使用して配信用の素材を作成し、その後、配信を計画しているのであれば、以下を推奨します。

      1. 禁止情報のリストを分析し、
      2. 自社の活動に最も関連性の高いものを特定し、
      3. それらの配信を防ぐこと。

    レコメンデーション技術

    レコメンデーション技術は、ユーザーの嗜好を収集・分析することで情報を提供するAIやデータマイニングの一部です。

    レコメンデーション技術を用いるリソース所有者は、以下の義務を果たさなければなりません。

      1. 人々や企業の権利や利益を侵害する、および、ロシア法で禁止されている情報を提供するレコメンデーション技術の使用の禁止
      2. ユーザーへのレコメンデーション技術の使用の通知、および、リソース所有者についての情報とそのメールアドレスの提供
      3. ロシア語によるレコメンデーション技術の使用についての規則の公開。規則には、使用されるプロセスと方法、収集される情報の種類が記載されていなければならない

    法的責任

    現行の国家政策の下では、AIシステムが生み出すあらゆる結果への責任は、個人または法人にあります。既存の民事および刑事責任の仕組みに根本的な変更は必要ではなく、AIによって引き起こされた損害の場合にも適用されます。

    民事責任:個人、法人、またはその財産が損害を受けた場合、損害を与えた者は被害者に対して全額、賠償しなければなりません。この規定は普遍的であり、法律で明確に規定されていないすべての不法行為にも適用されます。

    したがってAIによって生じた損害であっても、その責任は、加害者の行為が民事上の不法行為に該当する場合、一般的な不法行為の原則が適用され、損害を引き起こした本人にあることを意味します。

    状況により、責任を負う者はAI開発者、AIの独占権を有する者、AIの使用者、(AI)製品の製造者、またはAIを使用するサービス提供者である可能性があります。この問題について裁判所は、専門家の意見に基づいてケースごとに判断することになるでしょう。

    刑事責任:AIは犯罪を行う手段(ツールのひとつに過ぎない)と定義されており、AI技術を用いて行われた犯罪に関しては、刑法の責任規定が完全に適用されます。

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