フィリピンにおけるデジタル海賊行為

By Razel Ann P Esteban/ACCRALAW
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2024年11月、映画、テレビ、ストリーミング業界の擁護団体であり非営利組織であるモーション・ピクチャー・アソシエーション(MPA)は、ディズニー、Netflix、パラマウント ピクチャーズ、 Amazon MGMスタジオ、ソニー ピクチャーズ エンターテインメント、ユニバーサル シティ スタジオ、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー などの主要スタジオを会員に持つ業界団体であり、「フィリピンにおける著作権侵害による消費者リスク」と題する委託調査を発表しました。この調査結果は、フィリピン知的財産庁(IPOPHL)、創造性とエンターテイメントのための同盟 (ACE) 、GMAネットワークおよびグローブ テレコムが主催する反著作権侵害シンポジウムで発表されました。

Razel Ann P Esteban
Razel Ann P Esteban
アソシエイト
ACCRALAW

この調査は、オーストラリア・シドニーのマッコーリー大学でサイバー犯罪およびサイバーセキュリティの専門家であるポール・ワターズ教授が執筆しており、その内容によれば、フィリピンの消費者は映画やテレビの正規サイトと比較して、人気のある海賊サイト上ではサイバー脅威に遭遇する確率が33倍高いことが明らかとなりました。2024年のYouGovによる著作権侵害行為に関する消費者調査で、アジア太平洋地域において、フィリピンはベトナムの次に海賊版コンテンツの利用量が多い第2位に位置づけられました。

フィリピン人はデジタル著作権侵害のサービスやプラットフォームを利用する傾向が強いため、マルウェアやデータ窃盗といったサイバー脅威にきわめてさらされやすい状況にあります。この高まるサイバーリスクを軽減するため、本調査では国全体での啓発・教育キャンペーンの実施、デジタルフォレンジック およびインシデントレスポンスに対する法執行機関への予算増額、さらに海賊版サイトやサービスを対象とする適切かつ透明性のあるサイトブロッキング法制定を提言しています。

IPOPHL はMPAと緊密に連携し、フィリピン国内における海賊版サイトの拡散を抑制する取り組みを進めています。MPAから提起された著作権侵害の申し立てに基づき、映画協会に属する映画スタジオが所有する映画やテレビ番組の海賊版がアップされている6つのドメインに同庁はアクセス無効の要請を2度発出しました。また、2023年9月には、同局は通達第2023-025号、「自主的な管理サイトブロックに関する規則」 を出し、これによりインターネットサービスプロバイダーが同局の要請に応じて、著作権侵害のあるウェブサイトおよびドメインをブロックできるようになりました。

デジタル版海賊行為とは、音楽、映像、コンピュータソフトウェアなどのデジタルコンテンツを不正に複製・販売する行為を指し、これはフィリピン知的財産法上の著作権侵害とみなされます。フィリピン最高裁は、著作権所有者の同意なく、著作権所有者に専属的に認められた行為を行うことが著作権侵害であると定義しています。フィリピン知的財産法 第177条によれば、著作物の所有者は、その複製や実演、配布について専属的な権利を有しています。

法理論よると、複製のみであれば禁止されることはなく、その複製が「有害な影響」を及ぼすかどうかが侵害事案の判断基準となります。ワターズ教授の調査は、デジタル版著作権侵害がもたらす経済的影響、特に正規の販売や著作物のサブスクリプションによる潜在的な収益損失に焦点を当てています。デジタル海賊行為は、正規の著作権所有者に明確な損害を与えるものであり、法的措置が求められます。

フィリピン知的財産法第216条では、侵害者に対して侵害防止のための差止命令が出され、侵害により得た利益を含む損害賠償金の支払い責任が課されると定められています。第217条に基づき、著作権侵害者は少なくとも1年以上の懲役と5万フィリピン・ペソ(870米ドル)以上の罰金が科せられます。

近年、議会はフィリピン知的財産庁に対して侵害および海賊行為に対する執行権限を強化する必要性を一層認識するようになりました。現在、下院法案7600号および上院法案2150号、2385号、2645号、2651号の計5件の法案が、フィリピン知的財産法の改正とともに、同庁による侵害サイトのブロック、情報収集および海賊品・海賊コンテンツの調査権限の拡大を目指して検討されています。執筆時点では、これらの法案は議会において審議中です。

メディアのデジタル化が進む中、消費者は不正な情報源からコンテンツを入手しやすくなっています。しかし、この現象はクリエイティブ産業の収益に影響を及ぼすだけでなく、消費者のオンライン上の安全性も脅かすものです。これらの懸念に対応するため、サイトブロッキング法案が議会でより多くの支持を集めることが期待されています。

本記事はフィリピンで広く発行される新聞『BusinessWorld』に最初に掲載されたもので、一般的な情報提供および教育を目的としており、法的アドバイスまたは法的意見を提供するものではありません。

Razel Ann P Esteban氏はAngara Abello Concepcion Regala & Cruz Law Offices (ACCRALAW)のIT部門のアソシエイトです

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