台湾では暗号通貨は法定通貨として認められていません。2013年以降、中央銀行および金融監督委員会(FSC)は共通してビットコインを通貨ではなく、高度に投機的な「商品」としています。
2014年以降、台湾の地元銀行はビットコインについて、受け入れも、関連サービスの提供も行わないようFSCから指導されています。その後のFSCの発表や判断においても、同様の方針が維持されています。
このほかに、正式に発布または改正された暗号通貨取引全般に関する法令はないものの、(1)証券性を有するトークン、いわゆる「セキュリティートークン」とセキュリティー・トークン・オファリング(STO)と(2)仮想資産サービスプロバイダー(VASPs)向けのマネーロンダリング防止(AML)の規定が存在します。
トークン・オファリング

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トークン・オファリング、例えばイニシャル・トークン・オファリング(ICO)の主要な規制上の問題点は、これが台湾の証券規制の下での証券募集と見なされるかどうかにあります。もしみなされた場合、台湾証券取引法(SEA)の適用を受けることになります。
証券性を持つトークン(セキュリティートークン)の募集と発行だとと判断された場合、STO規制に従わなければ、違法な資金調達行為と見なし、SEAに反することになります。
セキュリティートークンおよびSTO
2019年、FSCはSEAの下で特定の性質を有する暗号通貨を「証券」(いわゆるセキュリティートークン)と位置付ける旨の判断を公式に示しました。これにより、セキュリティートークンは以下の要件を満たすものとされます。
- 暗号技術、分散型台帳技術、または類似技術を利用し、その価値がデジタルな仕組みにより保存、交換、または譲渡可能なもの
- 譲渡性があるもの
- 以下の投資的要素を全て包含するもの:
-
- 投資家による資金提供
- 共通の事業またはプロジェクトへの資金提供
- 投資家が利益の受領を期待すること
- 発行者や第三者の努力に主に依存して利益が生み出されること
FSCと台北証券取引所(TPEx)は共同でSTOに関する規則の整備に取り組み、これらは2020年に最終決定され、さらに2023年に改正されました。
規制は3000万台湾ドル(およそ93万ドル)を閾値として区分され、3000万台湾ドル以下のSTOは規定に従って実施可能となり、3000万台湾ドルを超える場合は「金融規制サンドボックス」での実験申請が必要となり、肯定的な結果が得らればSEAの下で実施されます。
3000万台湾ドル以下のSTOに関する主な規定は以下の通りです。
- 発行者の資格。発行者は台湾の会社法に基づき設立された株式有限責任会社であり、台湾証券取引所、TPExまたは新興株式市場で上場または取引がないこと。
- 発行可能なトークンの種類。株主権のない利益分配型または債務型トークンのみ。
- 対象となる投資家と上限。対象は専門投資家のみであり、自然人の場合は1回あたりの最大購入額は30万台湾ドル。
- STOプラットフォーム運営者。証券会社ライセンスの取得、最低払込資本として1億台湾ドル、運営保証金として1000万台湾ドルの提供が必要。
- 総募集額の上限。単一プラットフォームにおける全STOの合計額は2億台湾ドルまで。
- その他、取引(セカンダリーマーケット)、実名制、台湾ドルのみでの取引などに関する要件および制限が存在します。
特筆すべきは、これらの規制の厳格な要件(発行者の資格、投資家の適格性、上限額、遵守費用等)により、現時点では実際に実施されたSTOプログラムは1件のみとなっています。
マネーロンダリング防止

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STO活動は限定的ですが、セキュリティートークンではない暗号通貨に関するサービスを提供する暗号プラットフォームや取引所が存在します。
セキュリティートークンが含まれない限り、暗号通貨の取引に特化した法令や規制は存在しないため、暗号プラットフォームや取引所の運営に特別な許認可は不要です。
しかしながら、主要な反マネーロンダリング関連法であるマネーロンダリング防止法(AML Act)は、VASPsを台湾のAML規制体制に組み込んでいます。
AML Actの下での現行のFSC規制に従い、VASPsの対象範囲は以下の活動に従事する事業者を含みます。
- 仮想資産と台湾ドル、外国通貨、または中国本土、香港、マカオが発行する通貨との交換。
- 仮想資産間の交換。
- 仮想資産の譲渡。
- 仮想資産の保管および管理、または仮想資産の管理を可能にする手段の提供。
- 仮想資産の発行または販売に関連する金融サービスへの参加または提供。
2024年には、FSCは新たな規則を導入し、VASPsが取引所、取引プラットフォーム、送金サービス、保管サービスまたは引受業務等の仮想資産関連サービスを提供する前に、FSCへの登録を義務付けました。
登録を怠った場合、2年以下の懲役、最高500万台湾ドルの罰金、またはその両方の刑事罰が科される可能性があります。
これに対応して、多くの既存のVASPsが登録申請を提出しており、FSCは2025年月までに認可を発表する見込みです。
さらに、これらの規則はVASPsに対し、以下のような運営上の義務も課しています(1)内部統制システムおよび監査メカニズムの構築。(2)本人確認(KYC)手続きの実施(3)適切な取引記録の保持(4)顧客活動の継続的なモニタリング(5)大口取引および疑わしい活動の当局への報告。
最新の動向
未来のバーチャル資産サービスプロバイダ(VASP)の規制の基盤を築くため、金融サービス委員会(FSC)は、以下の広範な問題に対応するガイドラインを発表しました。
- ホワイトペーパーの発行など、バーチャル資産発行体に対する義務
- 新たなバーチャル資産の上場または開始前にVASPsを審査する仕組み
- VASPs自身の資金とは別に顧客資産を区分管理する要件
- 取引の公正性と透明性の確保
- サイバーセキュリティ、ホットウォレットおよびコールドウォレットの管理を含む運営管理基準
- 情報開示義務
- 内部統制および監査システムの整備
- 一部のコンプライアンス義務の海外VASPsへの拡大
このような基盤を築き、金融サービス委員会は監督体制をさらに強化すべく、2025年3月にVASPsに特化した法律の草案を発表しました。この草案は、最低資本金の基準、ASPの責任者および受益者としての資格、そして消費者保護の強化に重点を置いています。
この法律が制定されれば、現行のマネーロンダリング防止(AML)規制下における基本的な登録制度から、完全なライセンス制度へと移行し、VASPsがバーチャル資産サービスを提供する前に規制当局の承認を取得する必要が生じます。しかしながら、当該法案が立法院を通過するかどうか、その時期については依然として不透明です。
DeFiおよびNFTs
暗号通貨とブロックチェーン技術の新たな応用として、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)なども盛んに議論されています。
DeFiの台頭に関して公式見解は発表されていないものの、台湾内の観点では、その分類はケースバイケースで検討されるべきであり、銀行業務、信託業務、先物取引が台湾の法律に従っているかを調査し、確認する必要があるでしょう。
DeFiの仕組みでは中央集権的な事業者が存在しないため、違法行為も含めた活動に対して誰も責任を負うべきではないと主張する可能性があると市場関係者は話しています。しかし、法的な観点では、DeFiプロジェクトの発起人、もしくは主要な役割を果たす者が、潜在的な法的責任に関して実質的な「主体」とされる可能性が否定できません。
NFTに関しては、NFT保有者が実際に何を所有または取得しているのか、例えば、デジタルアート、音楽作品、コレクターズアイテム、野球やバスケットボールのカード、写真集といったもの、が議論の焦点となっています。このため、NFTおよびその提供の分類も、ケースバイケースで検討されるべきでしょう。
NFTの構造は多様であり「基礎資産」の定義なども含みますが、特に著作権の観点から発行体、プラットフォーム事業者、サービスまたは技術提供者などの関係者の権利と義務は、利用規約などにおいて明確に定める必要があります。
最後に、 DeFi市場の参加者が上記のAML関連規制の適用範囲に入るかどうかも不明確であり、規制の観点からこのような新興活動の将来的な発展に不安定さをもたらしています。
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