日本とフィリピンの税務上の重要問題に関する比較ガイド。
日本における税務上の課題
日本でビジネスを行う際には、財務状況が外からは見えにくい法人形態を利用することが一般的であり、パートナーシップやその他の財務状況が透明な事業体を利用することは比較的少ない傾向にあります。本稿では法人所得税(CIT)に焦点を当てていきます。日本の事業者にはCITに加え、消費税(VAT)も課されます。しかし、原則として日本のVAT率は10%と比較的低いため、実務上ではCITがVATよりも注目される傾向にあります。
グローバル・ミニマム課税の導入
日本は、経済協力開発機構(OECD)がグローバル税源浸食防止規則(GloBE)を通じて提案した、15%のグローバル・ミニマム課税を採用した国の一つです。日本は、GloBEモデル規則と、OECDが発表した追加の行政指導で示された更新内容の大部分を採り入れる形で、国内のCIT関連法規制を改正しました。

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日本ではすでに、所得合算ルール(IIR)が採用されています。これはグローバル・ミニマム課税の主要な要素であり、日本政府は実効税率が15%未満の法域に子会社を持つ日本の親会社に対して、追加課税を課すことを可能にしました。
日本のIIRは、2024年4月1日以降に始まる会計年度より適用されます。日本は、GloBEモデル規則の他の2つの主な要素、一般にQDMTT(国内ミニマム課税/日本企業が過少課税されるのを防ぐ)とUTPR(軽課税所得ルール/他の法域でQDMTTやIIRが課されないために過少課税されている、多国籍企業グループ内の日本企業への課税を可能にする)として知られる要素については、まだ立法措置を講じていません。
日本政府はこれらの措置を採用する意向を示していますが、それを実施するための具体的なロードマップは提供していません。
CFC税制と高税率政策
日本の多国籍企業は積極的な租税回避策を行ってこなかったと考えられており、グローバル・ミニマム課税からの税収は最小限にとどまると予想されています。日本の多国籍企業は、グローバル・ミニマム課税による高い税負担よりも、コンプライアンス・コストの増加を主に懸念しているようです。
グローバル・ミニマム課税の膨大なコンプライアンス・コストを考慮し、日本の多国籍企業は現在、いわゆる外国子会社合算税制(CFC税制)の縮小を政府に求めています。しかし、財務省は、グローバル・ミニマム課税によってCFC税制が不要になったり、重複したりすることはないと述べていると報じられています。これまでのところ政府は、日本の多国籍企業からのこのような要望に応じる税制改革案は発表していません。
日本がCFC税制を必要とする理由については、いくつかの議論があります。一つは、日本が高税率国であり続けることを目指している可能性があるということです。財務省によれば日本の実効CIT税率(地方税を含む)は29.74%です。一方、日本のハイブリッド国際税制(外国子会社の株式譲渡によるキャピタル・ゲインは日本で全額課税されるが、これらの外国子会社からの配当の95%は非課税となる)では、外国子会社が海外で過少課税されている場合でも、日本が課税する機会を逃す可能性があります。
つまり、日本の国際税制は、低税率の法域の子会社への所得移転による国際的な二重非課税に対して、確かな対策を持てていない可能性があるということです。言い換えれば、利益移転の問題に対処しなければ、日本は高いCITを維持することができないでしょう。
このように、CFC税制は日本の税制政策において重要な役割を果たしています。特筆すべきは、グローバル・ミニマム課税の時代においても、日本の29.74%という高いCIT税率ではなく、15%という低い税率を求めて、日本からオフショア法域に所得を移転しようとする動きが依然、存在する可能性があることです。
15%のグローバル・ミニマム課税が存在するにもかかわらず、CFC税制は日本の税収基盤を維持するためには依然として不可欠であると主張する人もいます。さらに、グローバル・ミニマム課税は収益が7億5000万ユーロ(8億1800万米ドル)以上の多国籍企業グループに適用されますが、CFC税制は中小企業や個人にも適用されます。これらのことから、日本がCFC税制を全面的に見直すかどうかは不明です。
繰越欠損金の利用
日本は高い(実効)CIT税率を有するだけでなく、将来の利益を相殺できる繰越欠損金(NOL)の額についても厳しく制限しています。日本では、欠損金の繰越および繰戻しに厳しい制限があり、ほとんどの場合、繰戻しによる還付を請求することはできません。NOLは10年間繰り越すことができますが、相殺可能なのは各事業年度の法人所得の最大50%までです。
日本では、国内法人がグループ通算制度を選択することが可能であり、グループ内の一企業の当期損失を、グループ内の他の企業の当期利益と相殺することができますが、これは100%の直接または間接的な株式保有関係がある場合に限られます。
日本は、少数株主が存在する場合でも連結を許可する米国のような法域とは大きく異なります。さらに近年では、適格組織再編成を利用したグループ企業間の繰越欠損金の移転に対して、税務当局が租税回避否認規定を適用してそれを認めないという税務訴訟がいくつか発生しています。
これらの訴訟について裁判所の判決が出るにはまだ数年かかるため、グループ損失の利用を促進する企業再編についての法的解釈は、不確実な状態が続く見込みです。
限定的な税制優遇措置
日本のCITのもう一つの特徴は、税制優遇措置が限定的にしか提供されていないことです。日本は、機械や建物への事業投資に対するコスト回収規定が十分ではありません。英国や米国のように、近年、国際的には全額費用化制度が普及していますが、日本の税制政策では採り入れられないようです。それらに加え、還付可能または譲渡可能な税額控除は日本では一般的ではありません。
日本の企業にとっての主要な税制優遇措置の一つが、研究開発(R&D)税額控除です。この税額控除は還付不可で、控除額はR&D費用の一定割合に基づいて決定されます。原則として、この割合はR&D費用の前年比増減に応じて1%~14%の間で変動します。例えば、現在のR&D費用が前年と同じであれば、その割合は8.5%となります。
R&D税額控除には上限があり、税額控除適用前の当期CIT税額の25%(特定の条件下では45%まで引き上げ可能)が上限です。そのため、R&D税額控除が日本のCITの実効税率を大幅に引き下げる可能性は低いとされています。この上限を超える金額は無効となり、繰り越されることはありません。
したがって、R&D税額控除の恩恵を最も受けるのは、安定した利益とCIT納税負担のある大企業であると言われています。一方、イニシャルコストをかかえ(現時点ではCIT納税負担のない)スタートアップ企業にとっては、恩恵はほとんどありません。
ある事業部門で発生したR&D税額控除は、集中的なR&D活動を必要としない他の事業部門の利益に対するCIT納税負担を軽減することもできます。そのため、R&Dをあまり必要としないものの、収益性の高い事業を展開する保守的な企業が、R&D税額控除の恩恵を最も受けるという点を皮肉に感じる人がいるかもしれません。
日本は2025年4月1日から「イノベーション拠点税制」と呼ばれる新しい税制優遇措置を導入します。このイノベーション拠点税制も限定的な税制優遇措置であるため、実際に大きな変革をもたらすかどうかは疑問視されています。日本のイノベーション拠点税制では、特定の条件を満たす知的財産(IP)所得に対して30%の控除が認められます。この控除には、当期所得(イノベーション拠点税制適用前)から未使用の繰越欠損金を差し引いた額の30%という上限があります。
日本の典型的な実効税率29.74%をもとに仮に計算すれば、30%の控除でも実効税率は約21%までしか下がりません。つまり、イノベーション拠点税制によっても大幅な税率引き下げは可能にはならないと言えるでしょう。しかしこれは、15%のグローバル・ミニマムを大幅に上回るものです。
イノベーション拠点税制は、特許やAI関連のソフトウェア・プログラムのみを対象としています。このような知的財産のライセンス供与や国内販売からの収入は対象となりますが、いわゆる組み込みロイヤルティは対象外です。また、関連会社間取引(外国子会社へのライセンス供与を含む)による利益は、取引が独立企業間価格で行われた場合でも除外されます。
企業がイノベーション拠点税制の適用を受けるには、経済産業省に申請する必要があります。同省は申請のためのガイドラインを作成中です。要するに、日本の税制をより競争力のあるものにするためには、さらなる改善が必要と思われます。
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フィリピン最新情報:デジタルサービスへの付加価値税(VAT)
画期的な法律の下で、フィリピン議会は国外から流入するデジタルサービスを捕捉するため、国家税法の特定の条項を改正しました。

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これらの改正の結果、非居住者によって提供されながらフィリピン国内で消費されているデジタルサービスが、フィリピンの12%の付加価値税(VAT)の対象として明確に位置づけられました。
この法律が共和国法(RA)第12023号です。2024年10月2日にフィリピン大統領によって署名され、公布から15日後の2024年10月18日に施行されました。
RA第12023号となった法案を提案した議員たちは、この法改正が単独で策定されたものではなく、実際には、国際的なベストプラクティスに整合させることを意図したものであると発表しました。この議員たちは、この改正によりフィリピンのVAT政策がグローバル・スタンダードに沿うものとなり、同時に税収の増加も促進することになると述べています。
立法の背景
改正の背景には、非居住サービス提供者によって海外で提供されるサービスは、一般的にフィリピンのVAT制度の対象外であるということがあります。サービスがVAT課税の対象となるかどうかを定める重要なポイントは、サービスが実施される場所でした。
RA第12023号は税法を改正し、非居住サービス提供者(DSP)によって提供されつつも、フィリピン国内で消費されるデジタルサービスはVATの対象範囲内であることを明確にしました。
この法律には、「非居住デジタルサービス提供者によって提供されるデジタルサービスは、フィリピンで消費される場合、フィリピンで実施または提供されたものとみなされる」と明記されています。
改正点
新法は、デジタルサービスの提供がVAT課税取引に含まれると明確に定めています。また、税法に新しい条項を追加して、非居住DSPを含め、デジタルサービスを提供する者の義務を規定しています。
新法の主要な規定について論じる前に、まず基本的な用語の定義について見ていきましょう。
デジタルサービス:「デジタルサービス」という用語は、RA第12023号の下では、インターネットまたは他の電子ネットワークを介して情報技術を使用して提供されるあらゆるサービスを指し、その提供が本質的に自動化されているものであると広く定義されています。
サービスは以下の通りですが、これらに限定されません。
- オンライン検索エンジン
- オンライン・マーケットプレイスまたはeマーケットプレイス
- クラウドサービス
- オンライン・メディアおよび広告
- オンライン・プラットフォームまたはデジタル商品
非居住者:新法では「非居住デジタルサービス提供者」という用語を、フィリピンに実体としての拠点を持たないデジタルサービス提供者と定義しています。
改革のポイント
RA第12023号は、非居住デジタルサービス提供者に関連する、または影響を与えるVAT制度の設計の枠組みを定めた全く新しい税法の条項として、以下のように追加しています。
- ビジネス対消費者(B2C)の場合:消費者がVAT登録されていない場合、VAT登録が義務づけられている非居住DSPは、フィリピンで消費されるデジタルサービスに関わるVATの納付義務を負うものとする
- ビジネス対ビジネス(B2B)の場合:リバースチャージ方式が導入され、非居住DSPの取引先であるフィリピン国内の消費者がVAT登録されている場合に適用される。この場合、VAT登録されている消費者は、非居住DSPからデジタルサービスを購入する際にVATの源泉徴収を行い、納付する義務を負う
- オンライン・マーケットプレイスまたはeマーケットプレイスの場合:VAT登録された、オンライン・マーケットプレイスまたはeマーケットプレイスとして分類される非居住DSPは、当該プラットフォームが供給の主要な部分を管理し、かつ次のいずれかを実施する場合、当該プラットフォームを通じて行われる非居住DSPの取引にかかるVATの納付義務を負う
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- 商品の供給条件を直接または間接的に設定する
- 商品の注文または配送に直接または間接的に関与する
簡素化
登録、基準額、免除:同法は、非居住DSPのために、簡素化され、自動化した内国歳入庁登録システムの立ち上げを義務付けています。VAT登録済みの非居住DSPは、すべての取引についてのデジタル販売の記録か商業インボイスを発行しなければなりませんが、通常の会計記録や補助帳簿を保管する義務は免除されています。
VAT登録の基準額は、非居住DSPを含むすべてのDSPに対して同等です。以下のいずれかの場合、電子的にまたは手作業でVAT登録を行う必要があります。
- 過去12カ月間の総売上高(免税対象売上を除く)が、現在のVAT基準額である300万フィリピンペソ(約5万1000米ドル)を超える場合
- 次の12カ月間の総売上高が確実に基準額を超えると予測される場合
同法は従来のVAT免除規定を強化していることに注意を払う必要があります。VATの適用から除外されるものは以下の通りです。
- 正式に認可された私立教育機関および政府教育機関によって提供されるオンラインコース、オンラインセミナー、オンライントレーニングを含む教育サービス
- 特定の政府機関(教育省、高等教育委員会、技術教育技能開発庁)およびこれらの政府機関によって認可された教育機関へのオンライン・サブスクリプションサービスの販売
- 銀行、準銀行機能を持つノンバンク金融仲介業者、およびその他のノンバンク仲介業者によるサービス(多様なデジタルプラットフォームを通じて提供されるものを含む)
内国歳入庁への登録が義務付けられているにもかかわらず登録を怠った場合、特別な措置が取られる可能性があります。内国歳入庁長官は、5日以上の期間、事業所を一時的に閉鎖する権限を有しており、閉鎖の際に出された命令の要件を満たすまで解除されません。
内国歳入庁長官の停止権限には情報通信技術省(DICT)の協力の下、電気通信委員会を通じて、フィリピンでアクセスされるデジタルサービスをブロックする権限も含まれます。
実施
規則および規制:RA第12023号は財務省に対し、内国歳入庁の勧告に基づき、DICTおよび電気通信委員会と連携して、利害関係者との協議の上で、法律の施行から90日以内に規則および規制を発行することを義務付けています。
非居住DSPは、実施規則および規制の発効から120日が経過すると、直ちにVATの対象となります。
内国歳入庁は、法律の成立直後に長官が設立したテクニカル・ワーキング・グループによる、実施規則および規制の最初の草案を配布しています。
また、2024年11月12日の最初の公聴会を皮切りに、パブリック・コメントも開始されています。
規則の精緻化
実施規則でさらに明確にしなければならない、より詳細なポイントは以下の通りです。
- 顧客の所在地の特定方法(DSPがこの特定を行うための情報や指標、推定または代替規則に優先順位があるのか)
- 顧客のステータスの特定(取引がB2BのシナリオであることをDSPが迅速に結論付けることができる)
- 税務当局による指針が、プライバシー関連法を含む、より広範な規制の枠組みを考慮に入れているかどうか
草案段階の規則は、パブリック・コメントを経て幾度か改訂されると予想されています。規則が十分に簡素化され、自発的なコンプライアンスを高めると実証されている国際的なベストプラクティスに沿ったものであり続けることが期待されています。
一方で納税者、特に複数の法域にまたがって納税義務を負う企業は、規則を遵守していくという課題を踏まえて、これらの規則の制定理念を理解し、実際に遂行していくために、十分かつ持続的に注意を払っていく必要があります。
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